最新記事

2013年9月19日

iPhone5sのM7コプロセッサ(モーションセンサ)とはなんぞや。そして、誰が作っているのか?




Appleの「M7」モーションセンサーは、iPhone 5sの隠し玉だ
http://jp.techcrunch.com/2013/09/16/20130915apples-m7-motion-sensing-coprocessor-is-the-wizard-behind-the-curtain-for-the-iphone-5s/

テックチャーチの翻訳記事を読んだ。
読んでの雑感などを。



M7モーション・コプロセッサとはなんぞや 


iPhone5sの目玉特徴の1つでもある、モーションセンサを1つのLSIにまとめたM7モーション・コアプロセッサというものが搭載されている。
M7のモーションセンサチップは、MEMSという技術により、加速度計、コンパス、ジャイロスコープといった昨今のスマートフォンにとっては必須のセンサを1つのLSIに集積化することで基板の実装面積や減らすことに成功している。つまり、このことによってバッテリーサイズアップや新しい機能を積むスペースが確保できる。また、モーションセンサを集積化することによって省電力性にも優れる。まさにスマートフォンにとってはいいこと取りのセンサチップである。
訂正:2013/09/21 M7コプロセッサは、単なるマイコンでした。

別記事にM7モーションコプロセッサの役割について書きました。
分かりやすく書いたつもりなので、気になる方は以下の記事を御覧くださいませ。

アップル iPhone 5s 搭載のM7モーションコプロセッサの役割とは
http://www.tsurezure.org/2013/09/iphone-5s-m7.html



新しいM7コプロセッサは、A7の頼れる右腕のような存在です。通常はA7チップに割り当てられるはずの、加速度センサー、ジャイロスコープ、コンパスから送られるモーションデータを測るタスクを処理するように特別に設計されました。しかもM7は、そのタスクをより効率良くこなします。例えば、体の動きを追いかけるフィットネスアプリケーションは、A7チップに連続した負担をかけることなく、M7コプロセッサからデータにアクセスできるようになります。だからバッテリーをさらに節約できるのです。

M7コプロセッサは、あなたが歩いているか、走っているか、さらには車に乗っているかさえ理解できます。例えばあなたが車を止めて歩き出すと、マップのルート案内機能はドライブ用から徒歩用に切り替わります。乗り物に乗るとM7がそれを感知するので、iPhone 5sは通過する場所にあるWi-Fiネットワークに接続するかどうかを、いちいちあなたに聞いたりしません。あなたが寝ている時など、iPhoneがしばらくの間動いていない場合は、ネットワークへの接続チェックをする頻度をM7が減らして、バッテリーを節約します


と、アップルのサイトに説明がありました。が、
このM7は単純にセンサ類を集約しただけ(キャリブレーション等は内蔵)のLSIだと私は推測していますので、こいつが全ての情報を記録するとは思えません。あくまでも、M7のジャイロスコープや加速度センサなどでドライブ中や徒歩などを判断して、結局のところは、その判断した信号を元にメインプロセッサA7と連動して様々な機能を実現しているのだろうと思います。しかしながら、冒頭で説明したようなメリットが得られるので、あるにことしたことはないでしょう。


M7モーションプロセッサはマジスゲーじゃん!!
iPhoneサイコー!!!

と思われた方には言い難いのですが、
Appleが独自で作っているとは思えないというのが大方の見解でしょうか。

実は同じようなモーションチップは昨今のスマートフォンに搭載されていたりします。***
難しい技術では有りますが、昨今では特別に革新的な技術ではありません。
こんなの大々的にアピールしなくてはいけないほどセールスポイントの差別化が難しくなってきたのでしょうね。


じゃあ背後で誰がM7を作っているのか??

ということです。

***Who Really Wins From Android’s Success?
http://www.caseyresearch.com/cdd/who-really-wins-from-androids-success

According to Investor's Business Daily, InvenSense already provides the motion tracking devices for 70% of Android phones and 90% of motion-sensing Android tablets. And with recent design wins including the Nexus tablets and Galaxy S4, InvenSense's motion-tracking devices are becoming the go-to solution for Android products. Thus, big growth in Android equals big growth for InvenSense.

There are claims from Piper Jaffray and other organizations that InvenSense chips will soon make it into iPhones and iPads, which would be an additional, huge growth opportunity for the company. We're skeptical of this claim, given Apple's penchant for sticking with one supplier and beating it down on price, but a contract win from Apple is not necessary for InvenSense's continued robust growth, since Android remains the 800-pound gorilla when it comes to mobile-platform market share, with more than 50% of the overall market (including 79% of the smartphone market).

誰がM7コプロセッサを作っている??


個人的な推測で書きます。


もちろん、M7のチップを作るにあたってAppleが仕様や要望を出しているはずですが、
短期間で独自のチップ(しかも難しい製造技術を必要とするMEMS)を設計できるとは思いません。
必ずどこかの企業が自社製品をベースにM7用にカスタムチップを作っているとみるのが正しいでしょう。

そこで、まず第一に上がる企業といえば…インベンセンスでは?

私は、インベンセンスがアップル仕様のカスタムチップを作っていると予想しています。
インベンセンスは、 加速度計、コンパス、ジャイロスコープといったモーションセンサをMEMS技術により1つのチップに集積化して製造販売している有名な企業です。

以下は、インベンセンスのウェブサイトから引用。

モーションインタフェースはスマートフォンとタブレットのユーザ・インタフェースを大きく変えています。モーションインタフェースはすでにすべての主要なオペレーティング・システムとハードウェア・プラットフォームに採用されており、急速に「必須」の機能になりつつあります。モーションインタフェースの機能性は、1:1動作、ジェスチャー認識、ポインティング、トラッキング、これら4つのカテゴリーに分類されます。これらはよりイマーシブなゲーム、精確な室内および屋外のナビゲーション、拡張現実(AR)、そして位置情報サービス(LBS)など、新しいレベルの洗練された機能をモバイル・アプリケーションにもたらします。同時に、キャリアや製造メーカーには新しい収入源をもたらします。

インテリジェントな MotionApps™プラットフォーム
キャリブレーション:モーションセンサには、製造工程、組立後、そして使用中にも精度を維持するためにキャリブレーションが必要です。MotionApps™には、こうしたキャリブレーションを自動化し、製品が使われているあいだシステムの性能を保証する、特許申請中の独自アルゴリズムが組み込まれています。
MotionFusion™: センサが精確にキャリブレーションされると、MotionApps™ソフトウェアはすべてのセンサが出力するデータを融合するアルゴリズムを使い、精確な三次元の方向と製品の方位を出力します。四元数や回転行列と呼ばれるこうしたデータがあれば、センサの生データから複雑な演算処理で取り出す必要がなく、アプリケーション開発者はこのシンプルなデータを利用してアプリケーションを開発することができます。
先進的なAPI: お客様とサードパーティの開発者は、MotionFusion™の仕組みを理解しなくても、MotionFusion™モに含まれるAPIを利用することで簡単にモーション・アプリケーションを開発することができます。

MPU-6050チップをベースとしたカスタムチップ?



Six-Axis (Gyro + Accelerometer) MEMS MotionTracking™ デバイス for Smart Phones, Tablets, and Wearable Sensors

MPU-6050 技術仕様書 PDF
http://dlnmh9ip6v2uc.cloudfront.net/datasheets/Components/General%20IC/PS-MPU-6000A.pdf


MPU-6050のターゲット市場
SmartPhones
Tablets
Wearable Sensors

MPU-6050の特徴
MPU-6050はインベンセンス社のスマートフォン、タブレット、着用可能なセンサーまたは他の消費市場における二代目の6軸MotionTrackingデバイスです。
QFNパッケージはx3x0.9mmの大きさであるため、MPU-6050は世界で最も小さい6軸のMotionTrackingデバイスです。
インベンセンス社の最新MEMSジャイロと加速度計の設計革新が組み込まれ、パフォーマンスとコストが改善されました。またチップサイズと電力消費量が大きく減少されました。
MPU-6050には、3軸加速度計、3軸ジャイロスコープまたはデジタルモーションプロセッサー(DMP:Digital Motion Processor)が内蔵されています。複雑なモーション合成やタイミング同期または身振り検知等は、デジタルモーションプロセッシングエンジンで行います。

インテリジェントな MotionApps™プラットフォーム
MotionApps™ソフトウェアは3つの点でコスト削減と迅速な市場投入(time-to-market)に寄与します。
キャリブレーション:モーションセンサには、製造工程、組立後、そして使用中にも精度を維持するためにキャリブレーションが必要です。MotionApps™には、こうしたキャリブレーションを自動化し、製品が使われているあいだシステムの性能を保証する、特許申請中の独自アルゴリズムが組み込まれています。
MotionFusion™: センサが精確にキャリブレーションされると、MotionApps™ソフトウェアはすべてのセンサが出力するデータを融合するアルゴリズムを使い、精確な三次元の方向と製品の方位を出力します。四元数や回転行列と呼ばれるこうしたデータがあれば、センサの生データから複雑な演算処理で取り出す必要がなく、アプリケーション開発者はこのシンプルなデータを利用してアプリケーションを開発することができます。
先進的なAPI: お客様とサードパーティの開発者は、MotionFusion™の仕組みを理解しなくても、MotionFusion™モに含まれるAPIを利用することで簡単にモーション・アプリケーションを開発することができます。


個人的には、けっこう確信していますが、
実際のところは関係者が告白するか分解して調べるしかないでしょうね。
まあ、近い将来に明るみになるのではないでしょうか。

実は、***の引用記事ですが、なんとInvenSenseの公式サイトからリンクされてます。
公式的には発表されてませんが、公式リンクなので勘ぐってしまいます。
興味がある方は以下からどうぞ。
http://www.invensense.com/mems/inthenews.html


iPhone5sにM7コプロセッサなんていう部品は存在しなかった!


追記:2013/09/20
iFixit's iPhone 5s Teardown Reveals Touch ID Fingerprint Sensor, 'Invisible' M7 Chip
http://www.macrumors.com/2013/09/20/ifixits-iphone-5s-teardown-reveals-touch-id-fingerprint-sensor-invisible-m7-chip/


世界の修理屋iFixitさんが分解していました。

そしてそこには衝撃の一文が…!
Looking at the logic board, iFixit could not find a standalone M7 motion coprocessor chip, dubbing it "invisible". The team believes the M7 may be special silicon built into the A7 chip itself. 

ロジックボードをみても、M7モーションコプロセッサを発見することができなかった。
A7チップの中にシリコン材料(LSIの一般的な材料)を特殊加工して「M7が入っている」と信じたい(現実的ではないが)。

Also of note was the striking lack of a discrete M7 co-processor. Perhaps the "M" stands for "magical," because it’s not there, folks. The mythical M7 is most likely a combination of motion-oriented components, and not an actual dedicated chip (as Apple implied during last week’s product announcement). Chock it up to savvy marketing.

M7コプロセッサなんてものは、5s発表時にチップ写真のようなモノを見せてそれらしく存在をアピールしていたが、そんなものは分解しても入ってなかった!Mの意味は魔法(つまり嘘)だ。M7は単なるセンサ部品を寄せ集めただけの組み合わせであって、1つの専用チップがあるわけでは無い。


つまり、端的にいうと、


  • M7モーションコプロセッサという専用チップは存在しない
  • M7コプロセッサはモーションセンサ部品群を集めて組み合わせた総称である



ほほう。
センサを寄せ集めただけということを一昨日に書きましたが、読み通り以上というか、
もしかして集積化すらされてない??

しかし、せめてどこかにM7と焼印は入れていると思っていたのですが、それすら無いのですね。
あんな大々的にチップの存在をアピールしておいて、いいのかよおい笑。


補足:Appleのラベルが打たれたチップは他にもあるのでその中にあるかもしれません。
それを解明するためには、チップを分解するなどの更なるリバースエンジニアリングが必要です。


形勢逆転!なんとM7コプロセッサは存在していた!

追記:2013/09/21

チップを分解するなど更なるリバースエンジニアリングをしなければと書きましたが
先ほど、チップ分解屋Chipworksさんが謎チップを分解したそうです!

そこにはM7らしきブロックを確認したとのこと。


Chipworks: Apple’s A7 Chip Made By Samsung, M7 Co-Processor By NXP
http://techcrunch.com/2013/09/20/chipworks-apples-a7-chip-made-by-samsung-m7-co-processor-by-nxp/



The Chipworks teardown also manages to uncover Apple’s M7 “motion co-processor,” as well, which turns out to be a chip made by NXP and not an Apple branded part at all. At least, not yet.
Luckily, we’ve been able to locate the M7 in the form the NXP LPC18A1. The LPC1800 series are high-performing Cortx-M3 based microcontrollers. This represents a big win for NXP. We had anticipated the M7 to be an NXP device based on input from industry analysts and our partners and we are happy to see this to be the case.
The M7 is dedicated to processing and translating the inputs provided to it by the discrete sensors; the gyroscope, accelerometer and electro magnetic compass mounted throughout the main printed circuit board.


謎に包まれていたM7コプロセッサは、NXPセミコンが製造していることが判明。
そして、現時点ではAppleブランドではない模様(焼印が無いため)。
NXP LPC18A1の中にM7が組み込まれているようです。


つまり、NXP大勝利!!(Appleから莫大な契約金が!!)


そして私が予想したインベンセンスは見事にハズレ。
私の予想『M7はモーションセンサを集積化したICである』という予想のまさに正反対でした。
まさかモーションセンサが入っていないとは思わなかった笑。
まあ、技術的な観点から言えば、セオリー通りかもしれません。
そして、少し残念。

M7は、Cortx-M3ベースのマイクロコントローラであり、外付けのモーションセンサ(ジャイロスコープ、加速度計、磁気コンパス)からの入力信号を処理する専用チップのようです。つまり、M7自体にMEMSセンサが内蔵されているわけではないようです。


難しいんだろうけど、モーションセンサ群をオールインワンチップにして欲しかったかな。
つまり、それほどインベンセンスのワンチップは評価に値する製品だと私は思います。

モーションセンサのオールインワンチップは、次期に持ち越しということかな。


おまけ 株価情報

Broadcom rises, InvenSense falls as 5S teardown arrives

On cue, iFixit has posted an iPhone 5S teardown shortly after Apple's latest flagship device went on sale.
Though no motion sensor supplier is named, Barclays says its initial analysis suggests STMicroelectronics (STM) held onto the gyroscope slot, albeit while adding the evidence isn't conclusive. InvenSense (INVN), expected by many to take the slot, isdown 4.3% premarket.
Parts that are mentioned include a Broadcom (BRCM) Wi-Fi/Bluetooth combo chip and touchscreen controller, a Sony (SNE) rear image sensor (in the past, Apple has used a dual-supplier strategy featuring Sony and OVTI), a Qualcomm (QCOM) baseband modem, RF transceiver, and power management IC, a TriQuint (TQNT) power amplifier module, and two amplifier modules apiece from Skyworks (SWKS) and Avago (AVGO).
Though the combo chip win was widely expected, Broadcom investors appear relieved about the touchscreen controller win, given rumors Renesas had taken the slot.BRCM +2.4% premarket. TQNT +1.8%.

インベンセンス大暴落(笑)
一方、ジャイロスコープが採用されたSTマイクロは上昇
あれ、ルネサスの名前も…がんばれよ笑。


おまけ:コプロセッサの役割


本文の追記が長くなってしまったので別記事にしました。
なるべく簡単な文章にしました。

アップル iPhone 5s 搭載のM7モーションコプロセッサの役割とは
http://www.tsurezure.org/2013/09/iphone-5s-m7.html

本文中、誤訳や技術的な話で間違って記載していたらごめんなさい。


Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...

Android スマートフォン関連

ピックアップ

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...